2015/02/20

Metro: Last Light

0.
Metro: Last Lightをようやくクリアした。2013年5月に発売で、僕が購入したのが同年12月なので本当に今更である。発表当初はあれほどE3トレーラーを繰り返し視聴して発売日を待望してたのに、妙な億劫さと致命的なバグのせいで一年越しのクリアとなってしまった。
いつの間にか日本語化MODも開発されていたみたいで、導入し20章あたりから再開してぶっ続けでクリアした(日本語化MODを求めている人はググれば一発でヒットする)。
E3トレーラー。



関係ないけどエンディング曲が良かった

1. 
マイ・スイート・ホーム、ロシア

















ポストアポカリプス、核戦争、廃墟、ロシア、これらの単語が琴線に触れる人間は多い。根暗で破滅志向の僕たちがMetroをプレイしない理由は無い。
ゲーム体験への没入感を追い求めたMetro: Last LightはUIの撤廃を採用した。体力ゲージとか弾の残数なんかのゲーム的なステータスは表示されない。このスタンスはDead Spaceが大きな話題を呼んだ手法で、あれもホラー表現の追求の末に考案されたものである。

このゲームのガスマスクは凄い。セーラー服にガスマスクの組み合わせというインスタントなデザインが好きな人達はこれをプレイして反省して欲しい。
外の世界の大気は汚染されてるのでガスマスクを装着しないと生きていけない。ガスマスクのフィルターも定期的に取り替えないといけない。怠ると主人公が苦しげにゼエゼエ言い始め、やがて咳き込み、最終的に死ぬ。
雨が降っているとガスマスクのゴーグルは濡れる。泥に入ると汚れるし、血が飛び散ることもある。ハエがゴーグルに止まることもある。ハエの羽音が聞こえてくるゲームは多いが、ハエがガスマスクのゴーグルに止まる時の音が聞けるゲームはMetroだけだ。ちなみにGキーを押せば手で拭ってくれるが、このグローブでゴーグルを荒々しく拭う効果音もまたたまらない。暇な移動中は意味もなく何度もGキーを押下してその音を楽しんだ。
敵の攻撃を受けるとガスマスクのゴーグルは割れる。自明の理だ。こういう時はどこかに転がっている死体からガスマスクをもぎ取って交換する他ないが、壊れる瞬間は絶対に戦闘中で、しかもわりと手こずっている場合が多い。視界も不確かで、状況も悪いとなると大変焦る。
暗くて何が何だか分からないが、ゴーグルが割れているのはわかる

















プレイヤーへの嫌がらせとして機能するガスマスクの描写は確かに不愉快ではあるが、それはこのゲームが見事な没頭感を生み出している証左でもある。
核戦争後の世界で、見づらいから変な描写やめろなどと誰が文句を言えるだろう? これは我々が望んだ世界なのだから、ただ黙ってゴーグルを拭っていればいい。

シナリオも中々良い。核戦争後にも僅かな資源の奪い合って争い続ける人類と、殺さないことは何よりも尊いと主張し人類と共存を望むミュータント、ダークワン。この主張はゲームシステムとも連動していて、トゥルーエンドにたどり着くには理不尽なまでのカルマ値を要求される。敵を殺さずにステルスして進むとか、死体を漁り過ぎないとか、乞食に金(弾薬だけど)を渡してやるとか、ギターを弾いてみるとか、隠し部屋を発見するとか。要はいっぱい作り込んだので隅々まで遊んでくれると嬉しいなーというシステムである。確かに驚くべき作り込みではあるが、知るか。
カルマシステムは鬱陶しいが、カルマ値を上げる為に憎むべき敵をあえて生かすシナリオを選択するのは気持ちがいい。聖人になった気がする。

あと個人的にこのゲームのインプレッションを執筆する最大の要因となったのは、ゲーム内に登場する絵である。共産党主の回想シーンで見られる。いずれも元ネタに忠実に描き直されてて素直に感心した。
ゲーム内に登場するアートワークが優れているのは良いゲームの証拠である。Spec Ops: The Lineのこれもかなり好きだった。
















左の元ネタ















2.
以下、問題点。
・ステルス推奨のくせにステルスシステムが雑。AIも馬鹿だから目の前でライトを落としても微動だにしない。最終的に次の扉を開けば敵の追跡は止むので、バレたらダッシュで扉まで行けばいい。
・FPSのダメージ描写ってどの方角から食らったかを教えてくれるように表示されるのが通例なんだけど、ミュータントの体当たりを食らうと方角指示とは別に画面の左半分に傷跡だか血糊だかが付く。おかげで左か!?と騙される。
・敵のヘッドライトが明るすぎて照準を合わせると敵が見えなくなる。
・終盤に連れて狂気に侵されていき画面に異常なエフェクトがかかるというのは常套手段なのだけど(Spec Opsとか)、Metroは多用し過ぎで単純にプレイしづらかった。歩いてるだけで画面のコントラストが狂っていくのにはうんざりした。
・入力言語が日本語のままゲームを起動するとキーボードが反応しなくなる(正確には何か一つのキーが入力されっぱなしの状態っぽい)。マウスしか使えなくなるので、ガスマスクのフィルタが切れて死亡しメニュー画面が出るのを待つか、PCを再起動するしかない。発狂しそうになった。
・入力言語が日本語のままゲームを起動しアイテム購入画面を開くとゲームがクラッシュする。
・クラッシュや再起動に耐え、再びゲームを起動するとスキップ不可のクソ長いロゴムービーが流れてくる(ファイルをいじればカット可能)。発狂する。
・なんか全体的にもっさりしてる。
・ゲームが面白いかと言われると頷けない。デザイン、世界観、効果音、シナリオ辺りの雰囲気要素は最高。

3.
結論、根暗が退廃的な気分に浸りたい時にプレイすべき傑作。しかし今更このタイミングで勧めるような作品か? アフィもやってねえ癖に、無駄に時間を費やしただけじゃねえか。