2015/09/23

各国のMMD制作者覚書

これは日本国外のMMD制作者を国籍別に分類した、私的な覚書です。
国籍ごとに何かしらの傾向やミームのようなものがあるのではないかという私の推測のもとにまとめてあります。
随時追記予定です。
情報提供や掲載拒否などのご意見がありましたら@hiekiまでご一報ください。Google翻訳を駆使して対応します。日本語、あるいは英語だと嬉しいです。
この作業に、学術的な意義が訪れんことを。

アメリカ

・KyokoSakura232氏 https://www.youtube.com/user/luigi8314/featured

・Belsfir氏 https://www.youtube.com/channel/UC2yOxqT2JYTRN8TK0e9w26Q


アメリカ在住と思われるが特定不能な人物

・Csp499氏 https://www.youtube.com/user/Csp499/featured


ロシア

・Amen氏 https://www.youtube.com/channel/UCTvqIbJBYIsFXvsuTWlrxMg

・WSK Channel氏 https://www.youtube.com/channel/UCqXNkHVTXnMza4hMmvD-t9w/feed


ドイツ

・diaryXpp氏 https://www.youtube.com/user/diaryXpp/about
 DeviantARTより国籍特定。

・Mana Aida氏 https://www.youtube.com/channel/UC0T_cnLKE6tHso7VVhhqHuQ

スウェーデン

・Harpoonneet氏 https://www.youtube.com/user/Harpoonneet/featured


スペイン語圏

・Sanae Kochiya氏 https://www.youtube.com/channel/UCOfSXtnEdSWTDGj0EUBifKg




Memo
スペイン語圏の情報を収集すること。←作業量が多い。
ドイツ語圏のMMDerを捜索すること。←ドイツ人はweb上で英語を使用する事が多いのではないか。特定に時間がかかる。
中国のMMDerの情報をまとめること←膨大過ぎて個人では不可能なのではないか。

海外のMMD動画に関する幾つかの情報と、とんでもない逸材を見つけた話

 表題通りの話をします。
 主にみなさんに知っていただきたいのは後半部の第三章なので、適当に読み飛ばしてもらって構いません。

1. はじまり

ここ一年ほど、僕は定期的に外人が作ったMMD動画を漁るのにハマっている。きっかけとなったのが以下の動画で、MMDと(恐らく)コメディ番組を組み合わせることでこんなにも暴力的でシュールな動画が出来上がるのかと素直に感嘆した。



("Twilight"とは米国で爆発的な人気を誇るステファニー・メイヤー著のティーン向け小説の事を指す)

 こういう作品を作れる人の感性というのは大抵の場合優れているし、その人が属する界隈も大抵優秀な人間が集まっている。というわけで僕は喜々として関連動画をクリックしまくり、ハマった。
 日本のMMDもそれなりに嗜んではいたが、全く異質な方向性が海外MMDには備わっている。

 界隈の雰囲気が伝わるような作品を、作者別に幾つか紹介しておく。
 ここでは下品さも支離滅裂さも稚拙な発想も、アニメキャラという一点においてすべて許される。そういうのを楽しめない人は、悪いことは言わないからこの記事を閉じたほうがいい。


KyokoSakura232氏https://www.youtube.com/user/luigi8314/featured
 近年はまどマギMMDから離れて、ラブライブMADの作成に注力しているようだが、彼の過去の仕事の偉大さは眼を見張るものがある。上記の動画も彼の作品である。
 DeviantARTの情報を見るに、アメリカ在住の学生らしい。Free!のコスプレもやっているようだ。






Csp499氏https://www.youtube.com/user/Csp499/featured
 ボカロ、まどマギ、ガルパン問わずトムとジェリー風のモーションで暴れさせるのが彼の特徴である。よく壁や地面に埋まり、また壁や地面から何かが飛び出てくる。
 過去の作品を見るに彼は恐らくTeam Fortress 2周辺のジャンルに属していたと推測される(また、Gary Mod文化との関連性を指摘する事もできるかもしれない。彼はDeviantARTで「お気に入りのゲームはGmod10だ」と回答している)。
 国籍は不詳、イラストにも堪能のようでDeviantARTでは厚塗りのイラストが多数投稿されており、中々に多才のようだ。







Amen氏(https://www.youtube.com/channel/UCTvqIbJBYIsFXvsuTWlrxMg)
 狂人揃いの海外MMD界隈の中でも異質な狂気を放つロシアの異才である。
 ロシア語というのもあって基本的に文脈が何もかも理解できない。せいぜい、海外ではくまモンがサタンの手先として扱われているのしか分からない。あとは彼がドラッグをキメている事くらいだ。
 クロエ・ルメールが咆哮するメトロ・ゴールドウィン・メイヤーのスタジオロゴパロディが彼のシンボルのようだ。
 



Sanae Kochiya氏(https://www.youtube.com/user/Sanaefroggy/featured)
 彼の作品には生活と密着したアグレッシヴさが潜んでいる。
 彼はMMD界のトゥコ・サラマンカだ。
 国籍は不明(スペイン語圏?)。





Belsfir氏https://www.youtube.com/channel/UC2yOxqT2JYTRN8TK0e9w26Q
 東方とまどマギを中心に、Team Fortress 2を組み込んでMMDで表現する作品が多い。
 アメリカ在住、洋ゲー全般が趣味のようだ。





Harpoonneet氏(https://www.youtube.com/user/Harpoonneet/featured)
 彼の主な得意分野は東方、ハリウッド映画、メタルギア辺りだろう。
 これまで紹介してきた作風とはあまり一致しないが、個人的に気に入っているので紹介しておく。
 東方キャラがサングラスを付けて銃をぶっ放していたら彼の作品であると考えても良いだろう。ISAO式博麗霊夢モデルの顔芸がお気に入りのようだ。
 日本語が堪能で、日本語字幕を付けてニコニコ動画にも投稿しているようだが、再生数はあまり伸びていない様子。我々日本人は有能な人材を見逃しているようだ。
 スウェーデン在住。







 彼らに共通するのは、過剰な効果音と物理法則を無視した挙動とクラブ・ミュージックなのだが、まあそういう話はどうでもいい。
 これらの作風の傾向は、恐らくゲーマーの間で形成されている文脈に起因しているのだろう。

 こうやって記事をまとめている間に、また興味深いロシア人の手によるMMDを発見したので貼っておく。
 初音ミクがロシア語で歌いながら両手を宙にかかげつつ揺れ、その背後でよくわからない古いアニメの映像が流れている。一体彼の人生に何が起こったらこんなものを作れるのだろうか? 大変興味深い現象だ。



2. PAUL SU

そうこうしている内に、僕はPAUL SUなる人物の存在を知ることとなる。
 きっかけはこの動画だった。
  

 中国語(?)のラップに合わせて初音ミクと博麗霊夢がラップバトルをする動画である。
 彼の映像面での技術力は凄まじい。これほどまでに奥行きと実在性を持たせたMMDはそうそうお目にかかれないだろう。この辺の言葉選びはもうフィーリングでしか無いので多くは語らないが、ともかく彼の映像とセンスは群を抜いている。



 彼は台湾人らしいが、台湾ではこのように新年を祝うのだろうか。

 彼は「曲に合わせてキャラクターたちが踊る」というオーソドックスな動画も手掛けている。
 ボーカロイド曲の振り付けを考案し、モーション配布することで多様性を獲得しオーソドックスにまで成り上がったこの踊ってみた系のMMDだが、彼の場合はまったく事情が異なる。
 彼は既存の楽曲のPVをMMDで再現するという手法を採用している。例を挙げておこう。





 なんともまあMMDのキャラクターたちがこういう衣装を着ると見事に娼婦となることか。たまりませんね。
 Hush Hush Hush Hushは「意味もなく背景に置かれた高級車」「DJ」「各作品のキャラクターの混在」「娼婦にしか見えない際どすぎる衣装」あたりの、僕の中ではとても重要な要素が抑えられていて実に良い。
 ちなみに、「高級車」「DJ」「娼婦にしか見えない衣装」で言えば前述のSanae Kochiya氏が秀逸な作品を残している。
 

 品性下劣ここに極まれりといった具合だ。素晴らしい。

 PAUL SU氏の作品を追いかけている内に、僕は中国のMMD界隈の発展に気付くことになる。作品紹介はここでは行わないが、興味がある人はYOUTUBEで「東方偶像鄉」と検索すると良い。

 調べて見るに、中国では中国版ニコニコ動画の「Bili Bili」なる動画サイトがあるらしい。そのBili Biliが主催するMMD杯、「Bili Bili MMD大赛」が大変な盛り上がりを見せている。詳細は分からないが、優勝賞品にはGalaxy S6 edge、Galaxy Gear VR2、2500元(日本円で47,00円くらい)。準優勝にはmini 3Dプリンターと1000元(18,000円くらい)が贈られるという。豪華だ。ニコニコ動画も公式でMMD杯を主催して豪華賞品を用意すれば盛り上がるんじゃないかと思ったが、あれは有志で運営されてるからこそ面白いのであって、公式が噛むとろくな事にならない予感がビシビシとした。

3. スペイン語圏のMMD


ロシア人の作るMMDがトチ狂っているという情報を元に、国籍ごとに何かしらのムーブメントやミームのようなものが発生しているのではないかと思いYOUTUBEを漁っていた所、スペイン語圏では鏡音リンと鏡音レンの純愛MMDが流行している事が分かった。どういう流れでこのような文化が発生したのか僕には全く理解できないが、ともかく、事実として流行している。
 それも見ているだけで気恥ずかしくなっていい年してこんな動画で気恥ずかしくなる自分に気が滅入ってしまう程に甘々な純愛モノで、抱き合ったりキスしたりするモーションもやたらと生々しい。
 幾つか紹介しておこう。











 「RinxLen」という名称のジャンルになっているらしく、「RinxLen mmd」で検索すればもう腐るほどヒットする。探してて気が狂いそうになった。
 ここで挙げた動画はそれぞれ異なる作者によって作られており、いかに文化として定着しているかがよくわかる。一体スペイン語圏の若者の間で何が起こっているのか。これ以上の詮索は直接話を伺うしか無いだろうが、僕はこれ以上の調査は行いたくない。誰か代わりにやってくれ。

 ここでようやく本題に入れるのだが、スペイン語圏のリンxレン動画を漁っている中で、僕はとんでもない逸材を発見してしまい、この記事を書く決心をしたのだ。

YLREVEB 21氏(https://www.youtube.com/channel/UCAIPpqgFAmCyuk7e0QV_qfg)

 (2016/05/08)YLREVEB 21氏はこれまでのyoutubeアカウントを削除して、一文字目を大文字にしたアカウントを再取得して活動している模様。
 かつてのようにセルフアテレコはしていないが、リンxレンMMD動画自体は今でも投稿しているようだ。

 グアテマラ共和国在住の女性。グアテマラ共和国はスペイン語圏らしい。初めて知った。
 彼女の作風を簡潔かつ性格に述べるのなら、「セルフアテレコリンレン純愛MMD」となる。ひどい字面だ。
 彼女はMMDでリンレン(に限らないが)の純愛モノを作りつつ、その上自分でキャラクターの台詞に声を当てている。もちろん、キスシーンもだ。普段からエロゲーをプレイしてるのだし女性が喘ぎ声やキス音を収録する事に驚くなんて馬鹿げた話ではあるが、在野の、それもグアテマラ共和国在住の人間がこれを行っているという事実に僕は仰天した。
 動画を貼っておく。







 所々、文脈がよくわからないシーンや一枚絵が挿入されるが、正直なところ海外MMDでは日常茶飯事なのでそこは問題ではない。重大な問題はもっと別のところにある。

 他にも投稿作品はあるので興味がある人間は調べてみるといい。凄い。

 グアテマラ共和国在住以上の情報は見つからなかったが、グアテマラ共和国に住み、欲望の赴くままに部屋でパソコンをいじってる内にMMD文化やRinxLen文化に触れ、自己投影を重ねつつ喘ぎ声を収録し、MMDで動画を作る女性の自意識は一体どうなっているのだろうか。どう考えてもライブチャットで自慰行為を世界配信する人間よりも複雑な絡まり方をしているのではないか。現実に即して想像しようとするほど僕の脳みそはエラーを起こす。

 最後に、日本人にとってグアテマラ共和国は馴染み薄い国なので、参考までにグアテマラ共和国の美しく雄大な光景を貼っておく。