2018/04/02

IoTやめた

アー、今はDucaのアイの庭を聴いています。みなさんも聴きましょう。

仕事やめた

IoTというのがあります。ご存知ですね。アレです。

IoTというのをやるのをやめたので、その話をします。

しないつもりでしたが、僕よりも数ヶ月早く辞めた人が退職エントリを書いていて、これはどう見ても続いていく流れだったので、やります。社名は出しません。

会社自体は決して悪い会社ではありませんでした。

福利厚生は充実していたし、(主に総務部の)社員の方々はとても活き活きと仕事をしていて、毎日ほぼ定時に帰宅している、そういう会社でした。各現場はまあ別ですが、これは会社の責任では全くありません。

IoTやめた

IoT、アツいですよね、みなさんIT Proとか読んで大興奮してるでしょう、IoT業界はマジでフロア温まってます。

京都というか関西圏は大手製造業がメチャ多くて、既に売れるモノは持ってて、でも上司から新しいアイデアで一発当てろ的な圧によって、モノにどう付加価値を与えて新製品を送り出そうかみなで頭を捻っております、恐らく。

そうした際にIT Proを読むとどうなるか、考えるまでもないですね、攻めのIT、IoTでビッグデータでエーアイでビジネス加速です、心が踊りますね、勝手に踊ってろ。

そんなノリの文脈の需要を手広くキャッチしてガチで全部実装する仕事をしてました。で、辞めました、よろしゅうな。

僕は京都のことを本当に愛していて、福岡のヤンキー文化から逃げ出すように京都で大学生をやって、はじめて街を愛するという感覚を理解して、この街で日々を過ごしていきたいと思って京都で就職をしたのですが、マジで今では四条烏丸のビル群を見るだけで気分が悪くなるくらいには京都が嫌いになりました、マジで許せねえ。

時系列

僕はバリクソ文系の人間で、パソンコが好きという極めて軽薄なノリでSIに入りました、この辺の判断の是非については一旦置いといて下さい、頼む。

その会社には内定者アルバイトという(比較的新しい)文化が社内の一部の組織にあって、これをやってました、クソ粘着質なデバッグ作業をやってこれ報告したら現場の人間死ぬんちゃうかな……って心配するみたいなことをやってました。

その後アッ、ハイという感じの新入社員研修を経て無事に滋賀県草津市にて就業することとなりました。

この段階でエッ、内定者アルバイトをやっていた組織に配属じゃないの、みたいな感覚はありましたがまあある程度の規模の企業となるとそこまで都合の良い事は起こらないわな、という納得を行っておりました。

滋賀県の感想はこの記事が詳しいです。本当に最悪だった。

しかしまあ滋賀での仕事というのはとても良く管理の行き届いた環境での仕事で、というのも錆びついた現場の人間では誰も触れられない技術をリベースするという事をやっていて、別に世界全体で見ればまあ55点くらいの仕事なんですけど、この世の現場というのはとにかく壮絶で、その壮絶な環境からするとウオーみたいな感じだったぽくて、かなり裁量のある状態で色々やり、まあ壮絶な感じのアレもそこそこやったんですが、まあ事故る事なく安定稼働していたので良かったですねという感想です。

あの会社の中であれだけやりやすい職場というのは他に無かったように思います。常駐先の社食も安くて美味かったし。

赤紙騒動などは過去の記事に書いた気がするので置いときましょう。

なんやかんやの引き抜き騒動に巻き込まれて、これビジネス的に破綻してませんか、なんなら僕がこれ使って不当に利益上げますけどいいですが、みたいなサービスの開発に従事して精神を破壊するなどして、最終的に内定者アルバイトを行っていた部署に戻ってくることが出来ました。やったね。君はまだこの後の悪夢を知らないからそんな笑みを浮かべられるんだ。

これまでの泥臭く錆びついた枯れ技術を駆使する現場とは異なり、イマドキなギジュツでイイカンジにサービスをヤッテイク的な組織で、ワカモノだった僕はそれに心を踊らせていたのですが、まあ現実はそうじゃない、クソ錆びついた会社の錆びついたなりに利益を上げている企業で無理やりベンチャーっぽいマインドでビジネスをやるという、まあ安定感はあるのだけれど普通にどこかで衝突して事故るだろみたいな危険な立ち位置に立たされました。まあ、それは別にどうでもいい。

その組織というのが、運用・ヘルプデスク的な業務からの逸脱という観点から、研究開発という立ち位置でIoTを中心にやっていく感じで、当初は自社サービスを展開するなどしてイイカンジだったんですが自社サービス自体がそもそも収益化を度外視してIoTというプラットフォームを盛り上げていく為のサービスになっていて、それは自体は悪いことではないのだけれど、当然収益が一切発生しないのでウチのサービス使いませんかみたいなノリで営業を拡大していく、という流れになっていっていた、その段階で僕がアサインされたという感じです、つまり僕自身は研究開発そのものには一切関わってなかったという事になります。

まあ別に僕自身としては確かに現場でウオーってやるの自体は大変だけど嫌いではないし、組織の流れが研究開発という目的から逸れていったという事自体はあまり気にしていませんでした。

研究開発という名目で最低限だけしか動かなくて実運用絶対無理みたいなゴミがじゃんじゃん生まれてた(S3にデータを上げる部分の例外処理が存在してなくて一度でもアップロードに失敗したらそのままプロセスが死ぬ!!!!!)、という現実的な課題が存在することや、どうせ研究開発という枠組みでなら泥臭い実務に関わらずにそれっぽく実働部隊に対してマウンティングしながらちゃんと仕事してます的な態度を取れるみたいな魂胆があるんだろ、それもお前個人の精神性の根っこの部分によ、みたいな事はしばしば考えていましたが、まあそれもどうでもいいです。

そんな感じで、退職を決意する事になった組織に所属した次第であります。

やっていた

そうしてIoTというものをやっておりました。

部屋の室温度をモニタリングするとかそういうなまっちょろい奴じゃなくて、絶対にバグってはいけないクソデカいマシンの状態や稼働状況とかをガーーーーってAWSまでぶち上げて、いい感じに可視化するみたいなことをやってました。

IoTにおいて最も肝要なのはどこを中継地点にしてクラウド上のDBにデータをぶち込むかみたいなので、これはモノの性質次第で、例えばクソ雑魚デバイスだとブチ上げる用のゲートウェイ的なデバイスを用意する必要があるし、モノ自体にSIMを載せられていい感じのフォーマットでアップロード出来るリソースがあるならそれに全部任せたいし、結局モノの都合によってクラウド側のアーキテクチャをそれぞれ用意していい感じにデータが流れるように調整する必要があるわけです。

一発で1万件のデータを既存のクソ雑魚端末でいい感じに捌く、みたいな案件が来ると発狂します。要は、モノ側が一切その他のリソースを考慮せずに実現したい結果だけ伝えてくるパターンがめちゃくちゃ多くて、多少の不都合はクラウド側で頑張って処理してよwみたいな案件が事実として多くて、こちらとしても基本的にはモノ側で都合のいいデータを吐いてもらえるように打診するんですけど、リソースの問題や既存実装の問題で断られるなんてザラだし、納入済みのデバイスとの整合性なんかが絡んでくるともう地獄でしか無い。

まあそのへんのモノ側の都合を考慮しつつ色々とやっていて、開発担当の一員だったわけですが、開発として業務フローの最適化みたいなことをやっていくんですけど、まあ事実として存在しないAPIを使う前提の業務設計がされていたりとか、業務フローをシステム的に作ったと思ったらその作業員の作業管理とか在庫管理とか出荷準備とか全部やることになって、実装しないといけない案件がありながらも物理的なモノの管理を人力でやっていくなどして、僕の脳の作業領域が破滅していって、それでもなんとかやっていってました。

そんなシチュエーションで、組織の立ち上げ人が某社にヘッドハンティングされて退職するというハプニングがありつつ、技術リーダー的な立場の人も他社にヘッドハントされて辞めていく、という事態がありました。

僕自身は組織立ち上げ人に、お前が欲しいと言われた事が一番の労働の原動力だったので、彼が辞めたという事実は僕がこれ以上無理矢理にでも踏ん張っている必要性が消失したという事態に直結するわけです、もちろんだからといって速やかに退職を決意するということはなかったけど、それでも理不尽を耐え続ける理由が消失した、という感覚は間違いなくあり、アッ、フーン、そういう感じね……ってなりました。

ただまあこれはで人事のアレコレあって、実務そのものに直接的な関係はありません。

人事というのはいつだって色々ある、そういうものです。

アイ・オ・ーテー

IoTで一番厳しい瞬間って何だと思いますか、それはデータ欠損が絶対に許されない現場と、データの順序整合性を絶対に遵守しないといけない現場です。

これらを実現しようと思うと途端に実装がハードになるし、実装がハードということは安定稼働への過渡期の運用フェーズが限界までハードになり、調査部隊も地獄のようにハードになります。そしておれはこれを一人で、と言うのは嘘で、まあ2人とか2.5人くらいで全部やっていた。

これはコツなんですが、データそのものの発生のタイムスタンプがあるのであれば全てをそれに合わせるべきだし、本来Aが届くはずなのにBが連続して届いてしまった場合、みたいなのは大抵モノ側に何か問題があって、それを後手後手で帳尻を合わせ始めるとそれは死にます。ですが高度に複雑化した現実という問題があって、それをやむを得ず選択せざるを得ない瞬間というのも勿論あって、こうなると全力で歯を食いしばる以外の選択肢が消えます。

そんな場面が何故起こりうるのか? それはモノ側の細かい特性を十全に把握しないまま雰囲気で設計を開始してしまったという業務フローそのものに問題があります。ただ、それはそうなんですが、一方で設計開発のアウトソーシングで飯を食っていた以上、そんなモノ特有の性質まで想定しきれるわけがない、というちょっぴり甘えた矛盾が発生するわけです。これをアジャイルな感じでやるとどうなりますか?  死にます。

といった感じのアイ・オー・テー独自のつらさというのはありますが、それはまあ頑張ればなんとかなる世界で、そういう特性を持った領域の仕事だよなー、という感じで納得していたので、それ自体もつらくはあったがまあ改善の余地はあるしそういうものだと思っていた。

一番の問題というのがあって、それは何かと言うと、アイ・オー・テーという領域の業務を外注としてメインに受け持っているという点です。

上記の破綻している部分はモノの性質を理解して、モノ側とアイ側でうまくやりとりが出来るようにきっちり調整してやればそれでいいだけの話だし、モノの特性を隅々まで知っていないまま仕事を進めてしまった側に問題があった、これに尽きます。

現場のエンジニアもみな「いや、この機械がどういう風に動くみたいなのは一切見たこと無いね」と言っていて(俺も見たことがない)、いわゆるドメイン知識的なものに対する理解をしないまま開発を進めていたのは致命的な問題だったように思えます。

これはつまりモノを作っている側の人間がリテラシーを蓄え出すと外注に出すメリットが一切なくなるという話で、結局のところ我々がちょっとばかりクラウド側のアーキテクチャやウェッブシステムに詳しいからその仕事を取れていただけで、そのあたりの一般的な知識が次第に常識化していくと外注でアイ・オー・テーを委託する必要性は一切無くなっていくわけです、それなのに我々はやれソラコムだのエーダブリューエスだのでボタンをポチポチ押せるというだけでデカい顔して尊大に仕事をしている、そういう危機感の無さや、単純にビジネス的な危うさの中で当時の各クライアントのリテラシーの無さみたいなものに胡座をかいて仕事をやって、自社内で先端技術部門としてデカい顔をしているという立場に耐えきれなかった、これはもう僕の自意識の問題でしかないが、僕の自意識が耐えきれなかったのでそれはシンプルに無理だし、なので、やめました。

勿論他にも金銭絡みの奴隷事情などがあり、お前たちは研究開発部門で投資対象なのだから会社上の人件費はゼロ円だ、だから実働しまくって限界まで稼いで来い、その金で来年からは給与を上げる予定だ、と直々に宣告されてアッ、ハイ……となった事件とか、まあ色々あるんですが、そういうのが連鎖的に積み上がっていってる中で、僕が一番尊敬していたエンジニアの先輩が退職したというのもあってもうどうでもいいなこれとなったので退職しました。

労働における人間の原動力というのは、誰かに求められるということと、羨望出来る人間が近くにいるということ、この二点に尽きます。

あと僕は単純にIoTに興味が一切なかった、プライベートな事はプライベートにしておきたいし、ビジネスありきのIoTなんて単にディストピア社会への歩みでしかないし、なんでもジャンジャンクラウドに上げてデータ分析!みたいなのもまあ勝手にやっててくださいよ僕はやりませんがみたいなスタンスだったので、大量のデータを捌くという事以外へのモチベーションが湧かなかったというのがある。

アイ・オー・テーのセキュリティの話

セキュリティ方面マジでヤバくて、それもとりわけ外注で開発してると「いいのかな? まあいいか納期もそろそろだし」みたいなノリで運用現場のすべてをガン無視した色々とヤバいパブリックなS3バケットがポコポコ立っていく世界観で、このへんは本当に暗黒なのでこれ以上は話しませんがまあ企業人としてこれ以上関わってたら絶対に面倒事に巻き込まれるな、というのがあって、一刻も早く身を引きたいという気持ちがありました。

クラウドサービスを運用する上でのセキュリティポリシーというのは、やはり各企業によってマチマチという感じで、厳しい企業はもちろん厳格だし、あまりノウハウが無い企業はよくわからないのでおまかせ丸投げ、というのがあって、実装上の都合で普通にビジネス的に致命的な運用がなされるみたいな事例は数を数え切れません。

怖いですね。

いま

じゃあお前今何してんのという話なんですがまあ色々とやってて、うまくいけばどっかで明るみに出るんじゃないでしょうか。もしその時がきたらよろしくお願いします。

さいごに

これは当時の僕の未投稿記事の様子です。


そういえば

これは特定の組織・団体・企業・個人に対する批判ではなく、単に筆者個人の心持ちの移り変わりを描いたある種の幻想文学的な散文であり、あらゆる現実的な事象とは一切関係のない抽象的かつ夢想的な事柄に対する感想です。

2017/11/25

K坂の昇天

――或はK坂の凍死

  おツイートによりますと、あなたはK坂君の凍死について、それが過失だったろうか、自殺だったろうか、自殺ならば、それが何に原因しているのだろう、あるいは不治の病をはかなんで死んだのではなかろうかと様に思い悩んでいられるようであります。そしてわずか一ひと月ほどの間に、あの療養地のN海岸で偶然にも、K坂君と相識ったというような、一面識もない私におツイートをくださるようになったのだと思います。私はあなたのおツイートではじめてK坂君の彼地での凍死を知ったのです。私はたいそうおどろきました。と同時に「K坂君はとうとう月世界へ行った」と思ったのです。どうして私がそんな奇異なことを思ったか、それを私は今ここでお話しようと思っています。それはあるいはK坂君の死の謎を解く一つの鍵であるかも知れないと思うからです。
Twitter

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(2017/11/26更新)


再度異議申し立てを送った。
直近で規約違反に含まれるツイートを投稿したとは到底思えないので、これから毎日異議申し立てを行う方針で行く。新規アカウントを発行するなどの対策は一切行わない。Twitter社の傲慢かつ不透明な運営方針をより腐敗させていくような対策を取った所で、不利益を被るのはTwitterユーザに他ならないからだ。
おれの負けです。

(2017/11/26更新)



(2017/11/26)

英語で異議申し立てを行う。あまり効果があるとは思えない。
戦局はあまりに絶望的。

(2017/11/27)


勝利も敗北もないまま孤独なレースは続いてく…


(2017/11/28)


西部戦線異状なし。

(2017/11/30)


あとどのくらい、耐えればいいのでしょう
頑張ることってなんだい、ひどく疲れてしまったの
何をするわけじゃない、私はここでただ桜の季節を、
いつかやって来るあなたを待ちわびているのです

(2017/12/02)


これは敗戦国の末路です。
@ksakahiekiとして、今後ともよろしくお願いします。

2017/11/19

2017年度Steam履歴(+2016年度)

まだちょっと年末には早いですが。

2017年

2017年1月6日 Wallpaper Engine

デスクトップ背景に動画が流れていると……嬉しい!!!!

2017年2月25日 theHunter™: Call of the Wild

まっとうな文化人であれば誰しもが雪の冠を頂いた雄大な山岳を遠方に広大な湖水地での鹿狩りに興じたいと思ったことがあるだろう。このゲームはそれを実現させてくれる偉大なゲームだ。

『theHunter』自体は2009年から存在しているゲームで、かつて3日分ほどの時間をその美麗なグラフィックと鹿とのチェイシングに捧げたことがあったが、本作はこれまでの中核となるゲームシステムをそのまま引き継ぎつつも、現代において他に追随を許さない自然描写とリアルなハンティングと幾つかのバグを提供してくれる。

欧州中部の自然保護狩猟地区のHIRSCHFELDEN HUNTING RESERVEでは目眩がするほど鮮明な色彩の紅葉した森林の中を駆け巡る事が出来るし、LEYTON LAKE DISTRICTでは巨大な熊との手に汗握る果し合いが体験できる。まあ、大抵の場合、コツさえ掴んでしまえばただの作業になるのだが。

2017年4月16日 PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS

今更紹介など不要だろう、これまでのF(T)PSの中でプレイ時間が長い作品を上から順に並べていくと、L4D2、CoD:BO, PUBGとなり、現在もなおランキング更新中である。

2017年8月23日 The Shrouded Isle

とある村のカルト教団の人身御供を運営していくシミュレータで、印象的なグラフィックと舞台設定が特徴的だが、この歳になってくると運営系のシミュレータに新鮮さを感じる事は不可能だ。

2017年8月26日 Brink

Brinkの無料開放はとてもセンセーショナルなニュースだった。

ワクワクしながらインストールし、5時間ほどプレイし、RAGEの事を思い出して、アンインストールした。

2017年8月26日 OLDTV

いわゆる脳トレのジャンルの一つとしてよくある、表示されている文字と色が合致しているか否かを延々と判断するゲームだが、この作品にはある種の挑戦的な意欲が凝縮しており、プレイヤーを手のひらの上で踊らせようとする策略と演出に満ちている。

音楽、映像、インタラクション、このゲームのすべての要素において、脳みそをフル回転させながらブッ飛んでいく必要があり、今年度最高のアドレナリンゲームとしてOLDTVは(無料ながら!)誕生した。
ナビゲータが存在しないゲームの仕様を一つ一つ暴き立てていくという行為は、誰かが入念に作り込んだ、隅々まで血の通った緻密なパズルを解き明かしていく事と同義であり、このゲームはそうした一つの冒険に他ならない。

2017年9月1日 Meadow

日々の激務に追われ、残業帰りにふとSteamで見つけた作品は、私の目には『けものフレンズ』と同等のプリミティヴ故の純朴なコミュニケーションが可能なある種のユートピアとして映った。

meowと鳴き声を上げながらログインし、ゲームの全貌もわからぬままだだっ広い草原を歩き回っていた私の前に現れたのは一匹のフランス人のアライグマで、彼はぴょこぴょことジャンプしながら私についてくるように言った。私は彼についていった。様々なアーティファクトのようなものを手に入れた。アライグマの彼はこの土地のことをよく知っているようだった。土地だけではなく、歩き方も。次第に私は複雑な感情を表現できるようになった。アライグマの彼とは、ほとんど人間同士、いや人間同士のそれよりもずっと高度に互いの心を通わせる事が出来た――マップが切り替わる。ゲームがフリーズする。私はゲームを閉じ、それ以来起動していない。

……アライグマの彼は今でも元気にやっているだろうか? それだけが気がかりだ。

2017年9月2日 Life is Strange: Before the Storm

2016年で最も優れているゲームを一つ挙げるとしたら私は躊躇なくLife is Strangeを選ぶだろうし、たとえ開発元が変わったとしても、2017年で最も優れているゲームを一つ挙げるとしたらLife is Strange: Before the Stormを選ぶだろう。

LiSは時間を巻き戻す能力を持った主人公の奇妙な物語であったが、本作はそれより過去の、特別な能力なんて何一つ無いただの不良少女の物語である。

彼女の鬱屈とした日々と同じように、このゲームのインタラクションはどれも面白味のないものばかりだし、プレイヤーに可能なのは彼女の会話を選んで周囲の反応を変更することだけだ。何一つ心躍る要素などはない、それ故に彼女が見ている世界を直截的に理解することが出来る。ゲーム性と主人公の物語を極限まで連動させることに成功した数少ないゲームの一つとなっている。

現在は全3エピソードの内エピソード2までがリリースされているが、既に定められた物語としてどのような形に終着するのか、全米国人が待望している事であろう。

2017年9月13日 Rainbow Six Siege

PUBGに飽きてきて、やはり本作をプレイすべきではないかと思い始めて購入したが、首が痛くなるまで見上げる必要のある複雑な定石の山を前に、果敢に足を踏み入れていくだけの体力は我々には無かった、ただそれだけだ。我々は異国人であった。

定石をみっちり教えてくれる人さえいればもっと遊べるのだろうが、残念ながら私の交友関係は狭い。

2017年10月1日 RUINER

平沢進! 忍殺及びブレードランナー的SFアジア世界観! スピーディアクション! スローモ! 全部がこの作品には揃っている。

RUINERが短編作品としてリリースされたのは戦略的に間違いなく成功だったし、これがもし重厚なストーリーの超大作を志向していたとしたら、間違いなく風呂敷を広げて霧散していくだけの作品に成り下がっていただろう。

そういう意味では現代の小規模開発におけるヴィジュアル中心のゲームとしての魅力を存分に満喫させつつ、程よい没入感でプレイヤーを満足させるお手本のようなゲームだった。

引き際をわきまえている作品はとてもお行儀がよろしい、という和のメンタリティが存分に発揮されている作品である。

平沢進の音楽をバックに、サイバーシティ中に散らばっている猫の行方を追いかけるのは、何物にも代えがたい体験だった。

2017年10月14日 BLADENET

胡乱げな日本語に惹かれて購入したが、今はこの作品を返金しなかった事を深く反省している。

2017年10月21日 Black The Fall

現実世界の歴史的経緯を一つの風刺として描いた作品というのはどれも珠玉で、心地よいレベル感のゲーム性と感傷的な当時の白黒写真が画面に映るだけで私は満足してしまう。

2017年10月21日 Carpe Diem: Reboot

Carpe DiemがRebootして帰ってきた、それだけで私はEyziに拍手したいくらいだが、各種音声付属、登場人物の増員等、様々なスケールアップを経て帰ってきたCarpe Diemだが、未だに英語を読むのが面倒でプレイしていない。

冒頭3分で前作のエンディングが行われたところを見るに、この作品は真にCarpe Diemの正統な再始動としての役割を担っている事は間違いない。