2015年1月5日 Don't Starve
サバイバルゲームとして見るならDon't Starveは極めて優秀なゲームだった。ダークなコンセプトは魅力的だし、クラフト要素も充実していたし、キャラクターMODも充実していた。しかし、僕はFPSオタクなのでサバイバルを楽しみたければMinecraftやRustやThe Forestなどを選ぶだろう。実際、Rustのマルチの民度の低さは極限状況下でのサバイバルを提供してくれる。
2015年1月9日 Long Live The Queen
これについては既に過去の記事で言及しているので、特に言う事はない。素晴らしいゲームだ。
2015年1月9日 planetarian ~the reverie of a little planet~
日本のノベルゲームがsteamに参入した記念に買ったが未プレイ。気が向いたらやるかもしれない。ちなみにこの動画はPlanetarianとは関係のない画像が入り乱れたユニークなトレイラーだ。
2015年3月7日 Five Nights at Freddy's
Five Nights at Freddy'sは既にホラーゲームとして確固たる名声を得ているし、実際のところ、インタラクトを最小限にすることでプレイヤーの無力感を演出するゲームシステムはホラーゲームとして素晴らしいものだ。暗い部屋に独りでプレイするのは不可能に近いし、続編も買いたくない。しかしながら、和洋問わず、ホラーゲームには裏設定を充実させる風潮があるのは何なのだろう。
2015年4月25日 Narcissu 1st & 2nd
無料だったんでつい……。
2015年4月28日 Risk of Rain
やはりこのゲームついてはPew Pew Pewしか言うことがない。好きなだけPew Pew Pewすればいいのだ。
2015年5月2日 Killing Floor 2
かの名高いKilling Floorの続編が発売され、多くのFPSerは狂喜し、アーリーアクセスという制度に罵詈雑言を吐いたことだろう。ステージが一つしかないCo-opに一体何の価値がある?
2015年5月11日 Magicite
言うなればMagiciteはRPG版Terrariaなのだが、そもそも僕はTerrariaがあまり好きではないし、RPGを遊ぶ体力もない。それに、精巧で華美なドット以外のドットゲームに価値を感じないのだ。彼らは一体いつまでレトロなドットに惹かれ続けられるのだろうか?
2015年5月17日 Euro Truck Simulator 2
Euro Truck Simulator2は我々に心躍るようなトラック運転エクスペリエンスを約束してくれる。デュッセルドルフを拠点にチューリッヒまでトラックを走らせ、湖畔のほとりに佇む静謐な教会を眺めるのは何物にも代えがたい感動だ。もし君がヨーロッパ中でトラックを運転したいと願うのであれば、豊富なDLCがそれを手助けしてくれるだろう。アメリカでトラックを運転したいのであれば、American Truck Simulatorを購入すべきだ。
きっと、これからトラックシミュレーターはNeed for Speedやグランツーリスモたちと比肩する程のジャンルになるに違いない。いすゞのトラックを運転しながら「走れ、走れ、いすゞのトラック」と口ずさむ日が近いうちにやってくるだろう。
2015年5月21日 Knights of Pen and Paper
僕はこのゲームを買った記憶が無いし、このゲームが一体何のゲームなのかも知らない。別にトレイラーを見ても遊びたいとは思わない。バンドルパックを買い漁ってるとこういうことが多々ある。
2015年5月21日 Victoria II
戦略シミュレーターを遊びたいと思った時期があるのは事実だが、これを買った記憶はやはり無い。日本語MODが出たら遊んでも良い気がするが、日本人はこのゲームの存在を知っているのだろうか?
2015年5月21日 War of the Roses
これも記憶に無いが、オンラインは面白そうに見える。人さえ残っていれば。
2015年5月21日 Magicka
Magickaが有名なゲームなのは知ってるが、僕は買っていたのかと驚いている最中だ。
2015年5月21日 Hearts of Iron III
把握すべき情報量の多さと操作画面の細分化は、全シミュレーターにとって悩ましい課題だろう。僕はHearts of IronⅢの為にこのクソみたいなバンドルパックを購入したが、1時間あまりで諦めてしまった。
2015年5月21日 Impire
マジで何。
2015年5月21日 Crusader Kings II
ストラテジーゲームというのは、それがストラテジーゲームであるだけで少しだけ魅力的に思える。
2015年5月21日 Ship Simulator Extremes Retail
(He's a Pirateが地の底から響くように聴こえて来る)
男たちは船に乗る。船を操り、荒波をかき分け、海を渡るのだ。
Ship SimulatorはAssassin's Creed Black Flagと同等の興奮を我々に約束する。
小型ボートから大型石油タンカーまでの幅広い船をサポートし、広大な海原を駆け巡る夢を与えてくれるのがこのゲームだ。嵐を乗り越え、静寂を取り戻した水平線から昇る曙に君は心を打ち震えさせるだろう。ちなみに僕は未プレイだ。起動しようとするとクラッシュする。
2015年5月21日 Teleglitch
ドットグラフィックの小粒なゲームには、得てして開発者の驚くような知恵と冒険心が詰め込まれているものだが、あいにくこのゲームを買った記憶はやはり無い。
2015年5月21日 Sengoku
Total War: Sengokuがおま国で買えないという現状に腹を立たせる事はできるが、Sengokuに思考スペースを割くほど我々は暇ではない。
2015年6月4日 Dirty Bomb
TitanfallにもCall of Duty: Advance Warfareにも乗り切れなかった僕が流れ着いた先はDirty Bombだった。
基本無料課金制のFPSに僕が一体何を期待してしまったのかは今でも理解できないし、要はプレイヤーがいるマルチのゲームで銃をバンバン撃てたらそれでよかったのかもしれない。最低限の要件は満たされた。それ以上のものについては何も得られなかった。ちょっとの時間を潰せただけだ。
2015年6月13日 Valiant Hearts: The Great War
第一次世界大戦に翻弄される家族の行方を描くという脚本が我々の涙を誘わない訳がないが、それ以上に充実したアートワークや第一次世界大戦の資料がこの作品の魅力を最大限に高めている。僕はオタクだからツェッペリンが登場するだけでそのゲームを過大評価してしまう節があるが、そのような贔屓目を抜きにしてもこのゲームは絶賛されるべき作品だし、実際に絶賛されている。
2015年6月16日 The Banner Saga
僕はこういうフラットなカラーリングの絵がとても好きで、風にはためく真っ赤なマントだけでThe Banner Sagaには購入するだけの価値がある。各所のレビューが好評というのは確認し、たまにはシミュレーションRPGも悪くはないと自分に言い聞かせ、Steamで購入し、日本語化MODが開発されることを祈った。ただそれだけだ。ちなみに今確認してみると日本語化プロジェクトは無事に完遂されたようだ。いつかやろう。
2015年6月16日 Bioshock Infinite
Bioshockシリーズでありつつもナンバリングを外すことで、Bioshock Infiniteは明らかにラプチャーからの逸脱を図ろうという挑戦的な意欲を見せていたし、その試みは実際見事に成功した。空中都市に張り巡らされたレールを飛び回るアクションはそれだけで最高にエキサイティングだ。もちろん、その素晴らしい脚本や巧妙な伏線の張り方はゲーム業界で永遠に語り継がれるだろう。
2015年6月16日 The Stanley Parable
The Stanley Parableについてレビューを書くのは大変困難な仕事であるが、この画像を見ればおおよそ理解してもらえるだろう。我々がメタという言葉に憧れを抱いていた頃の理想がこのゲームでは実現されている。
2015年6月17日 Door Kickers
こんなん面白いに決まってるじゃん、というのを実直に再現したゲームは、最初の20分は楽しめるのだが、やはり2時間以上遊ぶことは出来ないということを改めて我々に思い知らせてくれた偉大な作品だ。いや、面白かったけど。
2015年6月23日 Assassin's Creed Black Flag Digital Standard Edition
Assassin's Creed Black FlagはAssassin's Creed 3の海戦システムをオープンワールド化して、王道ながらも実直なシナリオで我々を楽しませてくれた。大作というのはこのようにあるべき、という理想像を提示してくれた。就職活動時に海賊になれたら、と僕がどれだけ願ったかは想像に難くないだろう。
2015年6月26日 Portal Stories: Mel
2015年のMODの中で最も完成度の高い作品だったのは間違いないが、元祖Portalのプレイヤーを答えに導くステージデザインがどれだけ優れていたかを痛感せざるを得なかったし、僕はエンディングにたどり着くことが出来なかった。
2015年7月3日 NotGTAV
世間はGTA5の発売日を眼前に熱狂の渦に包まれていた。確かに、あの時のRockstar Gamesは世界のすべてを掌握していた。コンシューママシンなんて持っていない僕を置き去りにして。僕はGTA5に無視されていた。そんな時にこのNotGTAⅤは登場し、イカした車と暴力とハードなBGMというGTAの本質を見事に抉り抜いてみせた。NotGTAⅤは2015年で最もクレバーな皮肉で我々を楽しませてくれた。
2015年7月7日 Infinifactory
このゲームの特徴を言葉で表現するのは難しいが、言語の通用しない宇宙人のもとで奴隷として工場のベルトコンベア回路を組み続ける作業に言語は必要ない。誰よりもサイコパスな回路を組んで、製品を運び続けるだけでいい。Youtubeに生息しているサイコパスたちの回路は我々の脳にかつて無いほどの刺激を与えてくれるだろう。僕がもぐらライクな生物をパック詰めする回路を作っていた時、アウシュビッツ強制収容所の設計者と同じ気持ちを味わうことが出来た。これは自慢だが、Youtube上には僕の回路より高速でもぐらを精肉加工出来る回路は存在しない。
2015年7月8日 Only If
僕はFreeplayのアーティスティックな一人称視点のゲームを見かけるとついダウンロードしてしまう病気に罹っている。楽しめた事はない。
2015年8月18日 Life Is Strange Episode 1
Life Is Strange Episode 1はアメリカ在住の思春期の少女の視線をエモーショナルにゲーム化した作品で、その制作スタンスはGOTYの最もインパクトを与えた作品部門を勝ち取るに相応しい。唯一難点を上げるとすればEpisode 1のシナリオはトレイラーですべて描かれきっているという点だ。実際、Episode 1はLife Is Strangeのあまりに贅沢なイントロダクションに過ぎない。
2015年9月19日 Call of Duty: Ghosts - Gold Edition
僕はこの作品について何も言いたくない。幾つかのクールなシチュエーション、退屈なシナリオ、人のいないマルチプレイヤー。
2015年9月21日 Anarchy Arcade
10分でダウンロードし、5分だけ遊び、即座にアンインストールした。
2015年11月8日 Age of Empires II HD: The Forgotten
このゲームは古典で、シェイクスピアみたいなものだ。
2015年11月10日 Written in the Sky
Good Lesbian Sex Makes Good Man.
2015年11月28日 Please Don't Touch Anything
ユニークな着想から生まれたゲームは、起動した20分後にはエンディング蒐集へと変わってしまう。
2015年11月28日 Wolfenstein: The New Order
僕はDoomやWolfensteinなどのFPSを切り開いた古典作品をプレイしたことがなくて、その正当な続編と言われるとどうしてもDuke Nukem Foreverの悪夢を思い出してしまう。しかしながらWolfenstein: The New OrderはオーソドックスかつアグレッシヴなFPSとして、FPSの本来の魅力を改めて我々に教えてくれた。ナチのイカれた幹部たちのキャラクターはこれでもかと際立っていたし、レジスタンスの面々も十分にキャラ立ちしていた。そしてそれを上手に料理した。何一つ文句のないアメイジングな作品だ。
2015年12月1日 The Beginner's Guide
The Stanley parableの制作者Davey Wredenは今や最も期待される人物となった。彼のゲームに対する真摯なスタンスは、Steamセールの荒波を耐えぬく内に失ってしまった我々のプリミティヴな感情を呼び覚ましてくれる。
2015年12月12日 Carpe Diem
これについてはもう記事を書いたはずだ。
2015年12月12日 Carpe Diem - Extra Package
この100円を安いと思える人間で常にあり続けたいと切に願う。
2015年12月24日 Hippocampal: The White Sofa
制作者がこのゲームのテーマは瞑想と精神世界だ、などと言い始めたら我々は身構えなくてはならない。クソなゲームはクソとして受け止めよう。そういう教訓がこのゲームには詰まっていた。
2015/12/30
2015/12/12
Carpe Diem
ここ半年ほど、やたらとsteamに無料のノベルゲームが増えたように思われる。steamで何が起こっているのかは知らないし特に知りたいとも思わないが、一応記事を書いておく。
とりわけ僕を驚かせたのは『Written in the Sky』で、このゲームは何となんかよくわからないけど、二人の美少女が性行為をするのだ。すごい。ストーリーは15分程度で、僕は全部スキップして実績を解除した。全実績を解除したのはこれが僕の人生ではじめてだ。
しかしながら、フリーレズビアンセックスを容認するとはsteamもいよいよここまで来たのかと思わざるをえない。この文化が成熟して『カタハネ』のような記念碑的百合作品を生み出す日もそう遠くはないだろう。LGBT万歳。
他にも軽く調べるだけで幾つか見つかる。
めっちゃプリミティブだ、良い…。
物語はデートの待ち合わせにヒロインのAiが遅刻する所から始まる。ド定番である。今時、日本でこんな冒頭を採用しようと思う人間はそういないだろう。
「待たせちゃった?」
「イェア、30分くらいな」
日本だと「全然大丈夫だよ」とフォローする所を平然と時間まで告げるハードな主人公である。
しかしヒロインはヒロインでド痴女みたいなファッションだ。
「今日はどこへ行こうか?」
ショッピングモール、公園、ゲーセンの三つからプレイヤーは行き先を決めることが出来る。このボキャブラリーの少なさが作者のオタクらしさをありありと表現しており、実に味わい深い。余談だがこの選択肢がプレイヤーの関与しうる唯一の要素である。
ちなみに、ショッピングモールに行くとその後にゲーセンに行き、公園に行くとその後にショッピングモールに行き、ゲーセンに行くとその後に公園に行くこととなり、作者の見事なシナリオ節約の手腕が遺憾なく発揮されている。
「この服とか似合うんじゃない?」
「いらないよ」
「いいじゃん、(テメエはオタクだから服買わないし)私が買ってあげるからさ!」
という健気な献身っぷりを見せるヒロインに対し、会計をしている間に一人でPCストアへ行くクソ主人公。これは衝撃的なエンディングの伏線となっている。
本屋ではAiちゃんは料理本を探す。
「ねえ、どんな料理が好きなの?」
「時々あんたに作ってあげるからさ」
「ブフ・ブルギニョン」
「ワオ、イカすじゃん。ベーコンエッグから初めてみない?」
主人公のクソ鬱陶しい返答にも平然と返すAiちゃん。本当に良い子である。
ショッピングモールを歩きまわるのにも飽き、二人はゲームセンターへと向かう。そこで、AiはUFOキャッチャーの景品の巨大な蜘蛛のぬいぐるみ(違うかも)を見て可愛い!欲しい!と騒ぐ。やや可愛いの基準がズレている系の設定らしい。
「このクレーン壊れてるでしょ!」
Aiは何度も挑戦するも、全て失敗する。
「馬鹿言うなよ、ほら、俺が取ってやる」
…俺はあまりUFOキャッチャーが得意じゃない。
「獲った!」
何とかなった。
「ワオ、どうやったの!?」
「簡単さ。」
知っている全ての神に祈ったのさ…。
キザで鼻持ちならない男である。
そうこうしている内に日は暮れ、夜景を見渡せる小高い丘のベンチに座って花火を眺める二人。なんでもない休日かと思いきや、都合よく花火が上がっているらしい。この実にチャチな背景が良い味を醸し出している。僕の一番のお気に入り画像だ。
主人公はこの時間が永遠に続けばいいのに、と願う。
だが、もう時間が無い…
彼女は悲しげな顔でこちらを向いた…
「時間、なんでしょ?」
「アンタは私と付き合うべきじゃなかったのよ」
「言うな」
「結局、私はただの――」
画面が暗転する。
…なあ、チューリングテストって知ってるか?
これは「アルキメデスの原理って知ってるか?」のパロディなのだろうか。
機械の知能に関するテストで、どれだけ素晴らしい機械も人間のようにはなれないんだ…どれだけ人間にそっくりだったとしても、だ…
それは決して本物の人間にはなり得ないんだ…
そう…
ちょうど、Aiみたいにね。
彼女のプログラムがどれだけ優れていようとも。
どれだけ俺が否定しようとも。
彼女は決して現実にはなれないんだ。
「あー」
「まーたクラッシュしちゃったよ」
「はやく安定版の修正をしなくちゃな…」
「…」
「俺は一体、何をやっているんだ?」
読んでくれてありがとな!
俺のノベルゲームプロジェクトを支えてくれたみんなに感謝だぜ! ほな、次の作品でな!
「実績を解除しました!」
な、マジで何やってんだろうなあ…
…
これが100円か…
なるほどね。
とりわけ僕を驚かせたのは『Written in the Sky』で、このゲームは何となんかよくわからないけど、二人の美少女が性行為をするのだ。すごい。ストーリーは15分程度で、僕は全部スキップして実績を解除した。全実績を解除したのはこれが僕の人生ではじめてだ。
しかしながら、フリーレズビアンセックスを容認するとはsteamもいよいよここまで来たのかと思わざるをえない。この文化が成熟して『カタハネ』のような記念碑的百合作品を生み出す日もそう遠くはないだろう。LGBT万歳。
他にも軽く調べるだけで幾つか見つかる。
すげー良い、アマチュア感全開で、これぞ人間の営みという感じがする。在野の人間の創作活動を漁るのはこれだからやめられない。商業化の波に襲われる以前の、プリミティブな人間の表現というものがここには残されている。
『Voice from the Sea』はやや頭一つ抜けたクオリティな気はするが。次にプレイするとしたらこれにしよう。わりかし評判も良いようだし。
そして今回僕がこの記事を書くに至ったゲームがこれである。
カルペ・ディエムとは大きく出たもんだ。
このゲームの総プレイ時間は全ルートで20分程度で、エンディングは1つ。僕はオートモードを駆使して錆びついてた包丁を研ぎながらプレイした。
まずは表題の意味を丁寧に読み解いてゆこう。
このゲームの総プレイ時間は全ルートで20分程度で、エンディングは1つ。僕はオートモードを駆使して錆びついてた包丁を研ぎながらプレイした。
まずは表題の意味を丁寧に読み解いてゆこう。
カルペ・ディエムは「メメント・モリ」「ヴァニタス」の言葉に続く最後の句で、とりわけバロック期の文化に深く影響を与えた語の一つである。
メメント・モリ、即ちラテン語で「死を忘れるな」は比較的メンヘラのみなさんの間でそれなりに日常的に用いられる語なので馴染み深い言葉だが、西洋ではメメント・モリはヴァニタス、カルペ・ディエムへと続くようなニュアンスで使われるのが一般的だ。
これは死のイメージです。
ヴァニタスとはラテン語で「空虚」を意味する語で、旧約聖書の「ヴァニタス・ヴァニタートゥム(虚無の虚無)」がよく引用されるらしい。人間とは誰も彼もがやがて死にゆくものであるし、それゆえに人生に永遠不変などは無く、全ては空しい。どれだけ現世で華々しいものを集めたところで何者も死から逃れる事は不可能なのである、といった意味合いで華美な花々や甲冑などと共に置かれた頭蓋骨が美術のテーマとして描かれることが多い。
これは空虚のイメージです。
そしてカルペ・ディエムへと続くわけです。直訳すると「その日を摘め」、およそ「人間は死ぬんだしこの瞬間くらいは楽しんどけ! 酒も飲め!」くらいの文脈になる。古代ローマの詩人ホラティウスの言葉に登場する語句である。
カルペ・ディエムという語において、人々は死や空虚などという振り払い難いものを転覆させ、日々を快活に生きてゆく強さへと変換していったわけである。すごいですね、立派ですね。諸行無常とか言って悲嘆に暮れてるジャップの皆さんとは大違いだ。
薔薇が枯れてしまう前に摘んでいる様子です。
といった文脈に位置する「カルペ・ディエム」をタイトルに冠するとはいい度胸じゃないか、となるのがこのゲームである。果たしてこの作品には死や空虚を徹底的に強度へと変換するようなテーマ性が用意されているのだろうか? されてるわけがないんだよな…などと思いつつゲームを起動する。
めっちゃプリミティブだ、良い…。
物語はデートの待ち合わせにヒロインのAiが遅刻する所から始まる。ド定番である。今時、日本でこんな冒頭を採用しようと思う人間はそういないだろう。
「待たせちゃった?」
「イェア、30分くらいな」
日本だと「全然大丈夫だよ」とフォローする所を平然と時間まで告げるハードな主人公である。
しかしヒロインはヒロインでド痴女みたいなファッションだ。
「今日はどこへ行こうか?」
ショッピングモール、公園、ゲーセンの三つからプレイヤーは行き先を決めることが出来る。このボキャブラリーの少なさが作者のオタクらしさをありありと表現しており、実に味わい深い。余談だがこの選択肢がプレイヤーの関与しうる唯一の要素である。
ちなみに、ショッピングモールに行くとその後にゲーセンに行き、公園に行くとその後にショッピングモールに行き、ゲーセンに行くとその後に公園に行くこととなり、作者の見事なシナリオ節約の手腕が遺憾なく発揮されている。
「この服とか似合うんじゃない?」
「いらないよ」
「いいじゃん、(テメエはオタクだから服買わないし)私が買ってあげるからさ!」
という健気な献身っぷりを見せるヒロインに対し、会計をしている間に一人でPCストアへ行くクソ主人公。これは衝撃的なエンディングの伏線となっている。
本屋ではAiちゃんは料理本を探す。
「ねえ、どんな料理が好きなの?」
「時々あんたに作ってあげるからさ」
「ブフ・ブルギニョン」
「ワオ、イカすじゃん。ベーコンエッグから初めてみない?」
主人公のクソ鬱陶しい返答にも平然と返すAiちゃん。本当に良い子である。
ショッピングモールを歩きまわるのにも飽き、二人はゲームセンターへと向かう。そこで、AiはUFOキャッチャーの景品の巨大な蜘蛛のぬいぐるみ(違うかも)を見て可愛い!欲しい!と騒ぐ。やや可愛いの基準がズレている系の設定らしい。
「このクレーン壊れてるでしょ!」
Aiは何度も挑戦するも、全て失敗する。
「馬鹿言うなよ、ほら、俺が取ってやる」
…俺はあまりUFOキャッチャーが得意じゃない。
「獲った!」
何とかなった。
「ワオ、どうやったの!?」
「簡単さ。」
知っている全ての神に祈ったのさ…。
キザで鼻持ちならない男である。
そうこうしている内に日は暮れ、夜景を見渡せる小高い丘のベンチに座って花火を眺める二人。なんでもない休日かと思いきや、都合よく花火が上がっているらしい。この実にチャチな背景が良い味を醸し出している。僕の一番のお気に入り画像だ。
主人公はこの時間が永遠に続けばいいのに、と願う。
だが、もう時間が無い…
彼女は悲しげな顔でこちらを向いた…
「時間、なんでしょ?」
「アンタは私と付き合うべきじゃなかったのよ」
「言うな」
「結局、私はただの――」
画面が暗転する。
…なあ、チューリングテストって知ってるか?
これは「アルキメデスの原理って知ってるか?」のパロディなのだろうか。
機械の知能に関するテストで、どれだけ素晴らしい機械も人間のようにはなれないんだ…どれだけ人間にそっくりだったとしても、だ…
それは決して本物の人間にはなり得ないんだ…
そう…
ちょうど、Aiみたいにね。
彼女のプログラムがどれだけ優れていようとも。
どれだけ俺が否定しようとも。
彼女は決して現実にはなれないんだ。
「あー」
「まーたクラッシュしちゃったよ」
「…」
「俺は一体、何をやっているんだ?」
読んでくれてありがとな!
俺のノベルゲームプロジェクトを支えてくれたみんなに感謝だぜ! ほな、次の作品でな!
- Eyzi
「実績を解除しました!」
な、マジで何やってんだろうなあ…
…
これが100円か…
なるほどね。
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